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修復のモニュメント 

2019年〜

 


 

 

 

 

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「修復のモニュメント」  アイムヒア プロジェクト|渡辺 篤

 

会 期:2020年2月21(金)~7月26日(日)※

  (※…新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響によって3月1日から5月31日まで閉場。当初3月15日まで会期は終了日も延長し続け再会を果たした)

定休日:6月1日以降の日曜(7月26日を除く)

開場時間:11:00~19:00

会 場:BankART SILK(横浜市中区山下町1番地 シルクセンター内1階)

入場料:無料

ウェブサイト:http://www.bankart1929.com/bank2020/news/20_003.html

主 催:BankART1929、アイムヒア プロジェクト|渡辺 篤

助 成:アーツコミッション・ヨコハマ 

 

オープニングレセプション:2月21日(金) 18:30~20:00 

新 刊:渡辺篤作品集『I'M HERE』/テキスト:福住廉(美術評論家)

 

「アイムヒア プロジェクト」とは… https://www.iamhere-project.org/

現代美術作家の渡辺篤によって2018年発足した、孤立者に伴走する形で、その存在や声を社会に向けて発信するプロジェクト。ひきこもり当事者自らが撮影した部屋の写真を集めた写真集「I’m here project」は、その出版と展覧会で大きな反響を呼んだ。本展もその延長線上にあり、二題のプログラムを進行させる。 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「修復のモニュメント」シリーズ

 

ひきこもり当事者/経験者6名が孤立に至った原因や生きづらさの事情について、

渡辺篤と対話しながら、コンクリート製の記念碑を作るプロジェクト。

碑を敢えて一旦ハンマーで破壊した後、陶芸の伝統的修復技法「金継ぎ」によって再構築する。

見過ごされ、抑圧され続けてきた声の顕在化によって、伴走型の新しい当事者発信の形を模索する。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Case 1

卒業アルバム

 

 

《修復のモニュメント「卒業アルバム」》

2019年|インスタレーション|ビデオ(9分41秒) 、コンクリートに金継ぎ、原稿用紙

共同制作:渡辺 篤+T氏

映像編集:檜村さくら 
展示撮影:井上圭祐

(「原稿用紙」パートは、もし今、卒業文集に載せる文章を書くとしたら、どのようなことを伝えたいですか?と渡辺が問い、Tさんが記述)

 

…Tさんはいじめの被害経験をきっかけにその後10年以上に渡ってひきこもり生活を続けた。私が対話の中で感じたのは、Tさんは怒りの表明や抵抗をあまり得意とはしない優しい性格だったのだと思う。しかし永いひきこもりの時間の中で、ある時Tさんは、いじめの加害者たちの写真も掲載された豪華で分厚い卒業アルバムを破壊した。その時のアルバムはもうこの世には無い。おそらくその時の行為の意味をTさん自身、まだ迷いの中で受け止め切れてはいないように見えた。

 ひきこもりというテーマについて当事者環境に身を浸して取材や交流を続けていた私は、様々な当事者会でなぜかよく顔を合わせる男性が居た。物腰が柔らかくいつも丁寧な言葉遣いの人だった。それが後に交流をすることになったTさん。ある雑誌媒体で、Tさんがこの卒業アルバムの破壊の経験について手記を書いているのを私が読んだことをきっかけに共同制作の提案をした。文章は言語化しづらい感情をどうにか客観的に言葉にし始めているという印象を持った。それから、Tさんに詳しく記憶の中の卒業アルバムについて情報をもらい、私がそれをもとにコンクリートで再現をし、その後一旦二人でハンマーで叩き壊したのち、「金継ぎ」修復を進めた。

 Tさんはロックミュージックが好きだ。ロックは、まさにカウンターカルチャーだ。怒りや抵抗の表明は必ずしも暴力的でいけないものとも限らない。そして私はアートの表現自体にもそうした側面があることを知っている。

 制作中、Tさんの提案によって、壊れた破片を完全に修復し直すということはせず、部分的にかけらをそのまま残すことにした。金継ぎは負の経験を転換させ、ポジティブな価値にすることと言えるが、Tさんの現実は必ずしも経験の全てを価値更新出来たわけでもない。そしてそれが必要とも限らない。もしかしたら、とらわれをとらわれのまま、許せないものを許さないまま残していく部分もあっていいのかもしれない。これからも再構築を続けるTさんそのものを表しているとも言える、これらの破片も展示台の上に一緒に置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Case 2

脳と心臓

  

《修復のモニュメント「脳と心臓」》

2020年|インスタレーション|ビデオ(7分45秒)、コンクリートに金継ぎ、シャウカステン、心音など

共同制作:渡辺 篤+ゆりな

映像編集:檜村さくら

 

…脳は、いじめや心的外傷によって物理的に傷つくことが、近年判ってきた。前頭前野の萎縮、聴覚野や扁桃体の変形などが起こる。心が傷つく度に、脳が射貫かれる感覚、心臓の鼓動が早くなる感覚があるというゆりなさんは、社会に向けて自身の痛みの可視化を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Case 3

01

  

《修復のモニュメント「01」》2020年
インスタレーション|ビデオ(15分37秒)、コンクリートに金継ぎ、黒板、ハンマーなど

共同制作:渡辺 篤+E氏

映像撮影補助:中野晃太、映像編集:檜村さくら
展示撮影: 井上圭佑

 

…EさんはIQが高く幼少期から知識欲が強かった。同級生の遊びに魅力を感じず、結果、孤立を知る。東大に入った彼は数学に没頭した。森羅万象は0と1だけで表せられるのだと。けれど「01思考」とは有と無で切り分ける極論的な思考の事でもある。数字と対峙したEさんは容易く修復出来ない程01を叩き壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Case 4

病院

  

《修復のモニュメント「病院」》2020年
インスタレーション|ビデオ(9分52秒)、コンクリートに金継ぎ、歩行器など

共同制作:渡辺 篤+S氏

映像撮影補助・映像編集:檜村さくら

 

 

…理学療法士を目指す大学に通い、病院内のリハビリテーション室での実習に参加したものの、そこでパワハラを受けたとことをきっかけにひきこもりになったSさん。病院は、ある者にとっては治療や社会復帰の為の場でありながら、また別のある者にとっては能力の競争や権威の象徴、そして社会からの撤退の原因にもなりえていた。

 

撮影:井上圭祐

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Case 5

等身大の自画像

  

《修復のモニュメント「等身大の自画像」》2020年
絵画

 共同制作:渡辺 篤+K氏
(展覧会「修復のモニュメント」ではトークイベントのみ参加)

 

…ひきこもりからの社会復帰の渦中にいる美大出身のKさんはまた絵を描き始めた。0からの再起の心理がそうさせるのか真っ白な絵を描きたいと。偶然なのか渡辺がひきこもりから社会復帰する頃も白い絵を描いていた。彼女は一旦自分を壊し再構築したいと語る。Kさんの次作の為、Kさんと同寸のパネルを作った。そこに自分を描くという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Case 6

ドア

 

《修復のモニュメント「ドア」》 2016/2019年

インスタレーション|コンクリートに金継ぎ

協力:黄金町バザール
撮影:井上圭祐

  

…渡辺篤はひきこもりを終える過程で実家の居間のドアを蹴破った。ひきこもりからの復帰後もう存在しないこのドアをコンクリートで再現し、一旦壊し、金継ぎ修復を施した。2016年/2017年に展覧会で展示したこの作品は、運搬中の事故により破損。今回2度目の修復を施した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

《被害者と加害者の振り分けを越えて》

 

会場に敷き詰めたコンクリートタイルは、

困窮者支援やケアの名の下であっても自動的に発生し続ける加害性や

それに対する自己批判の必要性について観る者に突き付ける。

 

来場者が壁面にある絵画を鑑賞しようと部屋に足を踏み入れると
床のタイルのひびは増えていく。
しかし、壁にかかる絵画はひび割れ、そして金継ぎすることによって成り立つというものである。

 

他者との関わりにはお節介の加害性を自覚し反省しながらも、

しかし時にはお節介に介入していく必要性もある。 

 

 

※この部屋に敷き詰められたコンクリートタイルは会期初日には新品でした。

来場者は入場口横のパネルに記載された<ルール>を確認後、壁面作品を目指して足を踏み入れます。

会期が進むにつれ、床のタイルにはどんどんとひび割れが増えていきます。

 

 

    《被害者と加害者の振り分けを越えて》2020年
インスタレーション|コンクリートタイル
制作協力: 駒木崇宏

 


    1~5《被害者と加害者の振り分けを越えて》2019年

コンクリートに金継ぎ

制作協力: 駒木崇宏 

撮影撮影:井上圭祐、撮影助手: Ryoko Inoue

 

《被害者と加害者の振り分けを越えて(額縁_01)》2020年
コンクリート
撮影:井上圭祐

7 《被害者と加害者の振り分けを越えて(額縁_02)》2020年
コンクリートに金継ぎ
撮影:井上圭祐

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

“GAZE” シリーズ

 

ひきこもり当事者たちが自ら撮影した部屋写真を募集し、2019年に写真集を作ったI'm here project。

その際に集まった写真を応用している。

各当事者とは作品売上の分配を契約し、ひきこもり当事者に金銭的利益を生み出す仕組みをこの作品シリーズでも用いている。

 

 

 

 

 

 

《GAZE_01》共同制作:渡辺 篤+F氏、《GAZE_02》共同制作:渡辺篤+A氏

2019年|写真、強化ガラス、コンクリート
フォトレタッチ:井上圭祐

 

 

 

 


 

 

 

 

<「修復のモニュメント」展 フロアマップ>

 

 

 

 


 

 

 

 

<主なメディア紹介/レビュー>

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

『プロジェクト「修復のモニュメント」』

企画:渡辺 篤

共同制作者(ひきこもり当事者/経験者):ゆりな、T氏、S氏、K氏、E氏、F氏、A氏

助成:アーツコミッション・ヨコハマ

協力:R16スタジオ

 

<「修復のモニュメント」展>

企画:渡辺 篤

主催:BankART 1929、アイムヒア プロジェクト|渡辺 篤

会場:BankART SILK(横浜市中区山下町1番地 シルクセンター内1階)

協力:駒木崇宏、渡辺政子、礒辺純也、植田 工、杉本克哉、Ryoko Inoue、堀 千滉、キム ガウン

作品運搬:pinkuma、山田裕介、安里 慎、三浦康太朗

写真撮影:井上圭佑、中川達彦(BankART 1929)

写真撮影補助:Ryoko Inoue

映像撮影:檜村さくら、中野晃太

映像編集:檜村さくら

受付(BankART1929):津澤 俊、Fan Chen、松田 葵、滝沢葉子、秋山直子、山本愛子

チラシデザイン:北風総貴

 

<解説映像「修復のモニュメント」>

企画・出演:渡辺 篤

協力:BankART1929

映像撮影:井上圭佑

映像撮影補助:石井 俊

編集:檜村さくら、田中志遠

写真:井上圭佑、中川達彦(BankART 1929)

音楽:Chopin「Ballade No. 3 in A flat major, Op. 47」

助成:アーツコミッション・ヨコハマ、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団

支援:アートにエールを!、文化庁(文化芸術活動の継続支援事業)

 

<作品集「I'M HERE」>

テキスト:福住 廉(美術評論家)「切実な時間の彼方へ」、渡辺 篤

編集:BankART 1929

デザイン:北風総貴

翻訳:ジョン・バレット、山田よしえ、水野 響(ATC)

翻訳校正:山田よしえ、Sam Stocker

翻訳校正補佐:新江千代

写真:井上圭佑、中川達彦(BankART 1929)

協力:川村格夫、プロジェクト「あなたの傷を教えて下さい。」匿名投稿者の方々

発行:BankART1929