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『週刊現代』2007/03/17号 

「風刺か、礼賛か、はたまた……?学内でも賛否両論 東京芸大卒展に創価学会名誉会長[池田 大作の巨大肖像画]のなぜ」

 

せかい なるほど いじんでん[3]インタビュー記事

 

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せかい なるほど いじんでん[3]  週刊現代

風刺か、礼賛か、はたまた……?学内でも賛否両論

 

見上げるというスタイルもコンセプトのひとつなんだとか。

ちなみに額縁の色は学会の三色旗と同じ青・黄・赤

 

『東京芸大卒展に創価学会名誉会長「池田大作の巨大肖像画」のなぜ』

 

2月最後の日曜日、記者が上野の東京都美術館を訪れると、東京芸術大学の卒展(卒業記念展覧会)が開かれていた(2月25日で終了)。ズラリと並んだ芸術家の卵たちの力作を堪能していると、最後の作品の周りに人だかりができている。何かと思いながら作品に目をやって驚いた。そこには、池田大作創価学会名誉会長(79歳)の巨大な肖像画が高々と掲げられていたのだ。

会場でもひときわ目立つ油絵のサイズは縦横が約227×182cm。「せかいなるほどいじんでん〔3〕~神格化された権力者~」と銘打たれていて、無数の肌のシミや、てかる唇が奇妙なリアリティを醸しだしている。絵の横には、膨大な数の参考文献リストが添えられており、その中には学会関連の書籍や雑誌記事にまじって、なんと小誌の学会関連記事もあった。

しばしその場で、観客の反応をうかがってみた。 「なんだ、これ」、「大作先生だ」、「描いたのは学会の人?」……。 反応は様々だが、誰もが必ず足を止める。作品が高い位置に掛けられているため、見上げる観客の上に池田氏の巨大な顔が覆いかぶさってくるようで、その威圧感は凄まじい。 会場には、観客が絵を見た感想を記録するノートも置かれていた。 〈お前、潰されるぞ〉、〈日本のタブーによくツッコんだ。体を張ってこそ芸術〉、〈お前、頭悪すぎ、最後に飾る芸大の質も地に落ちた〉、〈月夜の夜道は後ろを向いて歩くよう〉。

なぜこんな”特殊な”モチーフを選んだのか。作者の渡辺篤氏は横浜生まれの28歳で東京芸大美術学部絵画科に属している。がっちりとした体型だが、声が高くあどけなさが残り、鼻の下にちょび髭をたくわえたユニークな風貌だ。渡辺氏に話を聞いた。 「僕の父は結婚前から創価学会に入信しており、そのことを黙って母と結婚したんです。母は非学会員で、他の仏教を信仰しています。僕はそんな家庭環境で育ち、母の苦労を見てきました。よくある話ですが、選挙前になると公明党への投票依頼の電話が再三かかってきたり、聖教新聞をとらないかとか、母に入会を迫る折伏〈しゃくぶく〉(勧誘)がすごくて、加えて、それが父の親しい人たちだったために、母は困り果てていました。でも、父はそんな母の苦しみには無頓着で、子供の頃から家族はバラバラ、僕は父と口をききません。強引な折伏をする創価学会に対し、僕は疑念を覚えるようになり、そんな経験があって池田大作氏を描こうと思ったんです」 展示にこぎつけるまでにも、苦労があったという。

「学校も出展にはビクビクしていたんです賛成してくれた人はごくわずかでした。『創価学会の天皇のような存在を飾るのは(いかがなものか)』と社会的反響を考慮して反対した先生もいます。でも、『満点だ』と言ってくれた方もいて、最後は僕が周囲を説得して出展にこぎつけました」 創価学会ウォッチャーでジャーナリストの乙骨正生(おつこつまさお)氏も、実際に作品を見て衝撃を受けたという。

「すごいインパクトがありましたね。観客がクスクス笑ったり、『池田ってこんな感じだよね』と漏らしていたのを見て、この絵は池田さんや創価学会の実像が投影されている印象をもちました。聖教新聞などに載る池田さんの顔の多くは修正されたものと聞きます。その点、渡辺さんの肖像画は実物に近く、池田大作の本質をとらえている。片親が学会員で、もう一方が非学会員という家庭に育つと、その子は学会の活動に疑念をもつことが多い。池田さんは組織内では絶対者だが、世間はそうは見ていません。その滑稽さや問題意識が、あの絵にはこめられているように思います」 渡辺氏の家族の感想はどうだったのか。 「父は見ていないけど、母は見にきてくれました。あまりにショックだったのか、何も言いませんでした」 一応、創価学会にも絵について聞いてみた。 「ご指摘の作品を承知しておりませんので、コメントしようがございません」 風刺と受け取るものもいれば、学会礼賛と受け止めた者もいる。賛否両論を巻き起こした今回の作品だが、渡辺氏はこう言う。 「僕自身は信者ではなく、学会については肯定も否定もしません。絵を見た人が問題提起として受け止めてくれればそれでいい。これからも池田氏をモチーフに描いていくつもりです」 次回作が楽しみだ。


○'04年に撮影された池田名誉会長の写真 

…(誌面左ページ中央)


『週刊現代』2007/03/17号より